親権争いには敗れたものの,自由に面会交流をすることができる状況を確保し,実質的な目的を達成することができた事案
2019.04.03
事案概要
- 依頼人は妻と不仲となり,夫が家を出た後,離婚することになった。離婚に際し,妻が請求する慰謝料請求の当否とともに,子どもの親権をめぐって,争いとなった。協議が整わず,妻から離婚調停の申立があった。
解決結果
調停においても,慰謝料請求権の存否の基礎となる夫婦関係破綻の理由について,主張の隔たりがあった。他方,現状子どもが妻と同居し,特段の問題がないことから,夫に親権が認められる可能性は低い状況にあり,実質的には面会交流の有無及び内容が争点となっていた。
離婚原因について夫のいいたいことをそのまま主張すると,妻との関係が完全に破綻し,面会交流を実現することが現実的に困難になることから,不用意に妻の感情を傷つけることのないよう,細心の注意を払いながら夫の主張を展開した。その結果,離婚は避けられなかったものの,妻の主張する慰謝料請求はすべて排斥することができた。
また,子どもとの面会交流についても,(1)妻が頑なに拒否していた段階,(2)面会交流時間中ずっと妻の監視がついていた段階,(3)送り迎えだけで面会時間は子どもふたりだけで過ごすことができる段階,(4)子どもが夫宅を自由に訪問してもよい段階へと,少しずつ好転させた上で,調停が終了した。
次の年の正月,担当弁護士あてに,父親と子どもが二人で遊んでいる写真付の年賀状が来たのを見て,良好な関係が続いていることを確認することができた。