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コーポレートスローガンの商標登録のメリットや行わない場合のリスク

企業法務一般、顧問契約

コーポレートスローガンを制定する場合に,商標登録を行ったほうが良いのか,また行わなかったときのリスクなどについて知りたい。

1. ご質問の前提事情として,実際に制定されたいスローガンが商標登録の要件を満たしうるものであるかどうか,商標出願が拒絶されるリスクがどの程度あるかについては,別途の検討を要します。スローガンの商標登録については,審査基準の改定により認められうる状況にはなったものの,個別具体的な登録が認められるかは,あくまで識別力などの登録要件の個別の審査となります。一般論としては,いわゆるロゴやマークと比べると,スローガンの商標登録については,識別力などの点でハードルが高いものと考えます。
2. 以上を踏まえ,以下では商標登録が可能であると仮定した場合のメリットやリスクについて述べます。
(1)  まず,メリットは,御社がそのスローガンに関する独占的な使用権を得ることになり,そのスローガンに関して他社との競争関係を排除することができるという点にあります。ただし,商標登録をする際には,その商標をどのような商品・サービスにおいて使用するのかを指定して出願する必要がありますので,実際に,どのような商品やサービスに関して独占的な使用をされたいかという事業上の戦略と併せて考えなければ,意義の乏しい登録となるおそれがあります。なお,複数の商品やサービスでの商標登録は可能ですが,結果的に複数の区分にわたる場合は登録の費用が大きくなります。現時点では,商標登録の区分は,第1類から第45類までの45個となっております。また,3年以上継続して指定の商品・サービスについて登録商標を使用していない場合,取消の対象になりますので,注意を要します。
仮に,商標登録をしない場合でも,他社のスローガンの使用に関し,不正競争防止法などによる保護の可能性は残ります。
商標登録による具体的なメリットが生じうるかについては,個別具体的な内容を検討しなければ判断が難しいところですが,他社が先に商標登録をしてしまうリスクを想定して,審査基準の改定以来,多くの企業においてコーポレートスローガンの出願を行っている実情もあるようです。
(2)  次に,御社が商標登録を行わない場合のリスクですが,他社がそのスローガンの商標登録をできた場合には,御社の使用が制限されるということがあります。(御社が未登録でも一定の信用を蓄積した周知のスローガンとして用いていた場合は,そもそも他社の出願が拒絶されるべきことになるのですが,以下では,それが見過ごされた場合や,御社の周知性までは認められないと一旦判断された場合を想定します。)
その場合に,御社が,他社の商標登録に先立って,商標を日本国内で使用していたこと,不正競争の目的がないこと,商標が広く認識されていたこと(いわゆる周知性),そして継続して商標を使用していることの要件を満たせば,先使用権が認められて使用の制限を受けずに済みます。
しかし,この場合も,周知性について争いになり,これが否定されるというリスクがありますし,そもそも争いになること自体のコストの問題もあります。
また,他社の商標登録がある以上は,御社と他社の競合関係となります。これを排除するためには,他社の商標登録の無効審判請求を行うことも考えられますが,そのためのコストや,上記の周知性などの点での敗訴リスクもあります。無効審判請求に関しては,登録から5年を過ぎると除斥期間により行うことができなくなるなどの制限があります。
争った結果として,御社の先使用による周知性などを立証できず,御社が他社の商標権侵害をしているとなった場合には,損害賠償義務や刑事責任が生じうることになります。
商標に関しては,侵害行為が認定されると,侵害者の過失が推定されるという規定があり,個別具体的事情によりますが,実際に知らなかったとしても,他社の登録時から遡って損害賠償責任を負うとされるリスクが完全には否定できないものと考えます。

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