賃料増額調停により月40万円程度の賃料の増額を実現することができた事例
2020.09.01
事案概要
- 依頼者は父から相続した土地建物を運輸会社に賃貸しており,賃借人である運輸会社はその土地建物を駐車場及び倉庫として利用していた。
賃貸借契約は親の代から数十年間にわたって続いていたものであり,賃料は概ね月額60~70万円程度で推移していたが,相続前に父と賃借人との間で一時的に賃料を減額する合意がなされ,賃料が10万円まで減額された状態で依頼者が土地建物を相続することとなった。
そのため,依頼者は賃借人との間で賃料の増額に向けた協議をした結果,月額20万円までの増額に応じてもらうことはできたものの,賃借人が一向にそれ以上の増額に応じようとしないことから,当事務所に賃料の増額の問題の解決を依頼した。
なお,賃貸されていた土地は登記簿上農地の扱いとなっており,正式な転用の許可がなされていないままに賃貸されていたという問題もあった。
解決結果
受任後,周辺土地建物の相場を調査したうえ,相当な賃料への増額を請求する書面を賃借人に対して送付して,賃料増額に向けた協議を行った。
賃借人も代理人弁護士を選任したことから,代理人間で協議を進めたものの,十分な回答を得ることはできなかった。
そのため,不動産鑑定士による査定書を取得するとともに,土地の登記簿上の地目については農業委員会による非農地証明を受けたうえで地目変更登記を完了させるなどの準備を整えたうえで,賃料増額調停を申し立てた。
その結果,最終的に,賃料を減額前の水準である月額60万円まで増額する内容において調停が成立し,賃料増額を実現することができた。