離婚届提出後受理前の不貞について慰謝料請求が認められた事例
2024.01.25
事案概要
- 依頼者は,夫から「気持ちがなくなった」として離婚を切り出され,1か月程度の別居及び話合いの末,夫の気持ちを尊重して離婚に応じることとして,離婚届に署名して夫に交付した。
そうしたところ,夫は,休日(土曜)に役所の宿直室に離婚届を提出し,その日のうちに不貞行為に及んだ。依頼者は,翌日(日曜)に不貞の事実を知り,離婚届の提出の有無を役所に問い合わせたところ,前日に離婚届が提出されていたことが判明したが,離婚届はその時点では正式に受理される前だっため,すぐに役所に行って離婚届を取り下げた。
その後,依頼者があらためて夫及び不貞相手と協議したところ,夫と不貞相手は不貞の事実を認めたものの,「離婚が決まった後のことなので何も悪くない」として慰謝料の支払に応じず,その後も離婚未成立のままで夫と不貞相手は交際を続け,同棲するに至った。そのため,依頼者は,夫との離婚協議及び不貞相手に対する慰謝料の請求を当事務所に依頼した。
解決結果
受任後,夫及び不貞相手に対して,「離婚の動機が不貞だったと発覚した以上,依頼者には現時点で離婚の意思はない」という旨を通知し,不貞相手に対しては夫との交際の解消を求めるとともに慰謝料を請求した。
しかし,不貞相手は責任を認めず,謝罪の意思も示さなかったことから,不貞相手に対して慰謝料請求訴訟を提起し,訴訟の中で「不貞があった時点では依頼者が真に離婚を望んでいたわけではなく,婚姻関係が完全に破綻していたわけでもない」という旨を主張した。訴訟の中では,夫が不貞相手側の証人として出頭して婚姻関係の破綻を主張するなどしてきたが,最終的には60万円の慰謝料請求を認める判決を得ることができた。
そして,不貞相手から慰謝料を回収したうえで,夫とあらためて離婚協議を進めたところ,最終的に夫からも慰謝料100万円の支払を受ける内容で協議離婚が成立するに至った。