合意退職した元従業員(塾講師)からの残業代等の請求について,労働審判の請求額の半額以下に減額して解決した事例
2019.11.28
訴訟・紛争解決
労働問題
事案概要
- 依頼者は北海道内で学習塾を経営していたところ,生徒数の減少などから経営状況が悪化し,やむを得ず正社員の講師1名に退職をお願いし,協議の結果最終的に合意退職に至った。
しかし,当該講師が弁護士を立て,退職後に依頼者に対して未払の残業代や在職中のセクハラについての慰謝料などを請求してきたことから,依頼者はその対応を当事務所に依頼した。
なお,依頼者の学習塾では,講師の所定労働時間を短めに設定しつつ,授業時間以外の準備作業などについては講師の裁量に委ねており,講師の出退勤の時刻などを明確に管理していなかった。
他方,退職した講師は自分の出退勤の時刻を手帳に書き込んで記録しており,元々の所定労働時間が短かったために,その記録を元にすると相当程度の時間外労働がある計算となる状況にあった。
解決結果
受任後,すみやかに相手方との交渉にあたったが,相手方は納得せず,労働審判の申立てがなされたために,労働審判への対応に移行した。
審判の中では,労働時間やセクハラの事実に関する認定のほか,残業が必要なほどの業務があったのかという点などが争いとなった。
審判手続の中で様々な主張を尽くし,協議を進めた結果,最終的にセクハラの事実は認められないことを前提にした和解が成立し,残業代の請求についても請求額の半額以下の支払いに抑えることができた。