共同相続人からの遺留分減殺請求の交渉及び訴訟に対応し,当初請求額から2000万円以上の減額に成功した事例
2019.12.23
事案概要
- 依頼者の母が死亡し,依頼者と兄が相続人となる相続が発生したが,母が財産の全てを依頼者に相続させる旨の遺言公正証書を作成していたことから,母の遺産については全て依頼者が相続した。
なお,数年前に父も死亡しており,父の相続については母,兄及び依頼者の3名が遺産分割協議をしてそれぞれ遺産を相続したが,その遺産分割協議の際に,母,兄及び依頼者の3名は「母の相続の際には全額を依頼者に相続させることにし,兄は遺留分減殺請求をしない」ということを話し合って決めていた。
しかしながら,兄は,母の相続について,依頼者に対して遺留分減殺請求をしてきたことから,依頼者はこれに対する対応を当事務所に依頼した。
解決結果
受任後,兄の代理人弁護士に対して,兄が母の生前に遺留分減殺請求をしない旨の合意をしていたこと,父の遺産分割協議がその合意を前提にしたものであって,兄が父の相続の際に既に十分な財産を取得していたことなどを主張して交渉にあたったが,兄は遺留分減殺請求を維持し,訴訟を提起したことから,交渉に引き続いて訴訟対応にあたった。
訴訟のなかでは,本件の事情に照らして遺留分減殺請求が権利の濫用にあたることを主張するとともに,兄が主張する遺産の範囲(依頼者が取得した死亡保険金が遺留分の範囲に含まれるか,など)についても争った。その結果,最終的には訴訟上の和解が成立し,権利の濫用については認められなかったものの,遺産の範囲については交渉段階で兄が主張していた金額よりも大幅に小さい金額であることを前提に,兄の当初請求額からは2000万円以上減額した和解金額での解決となった。